2025/01/16 事業再構築補助金 第13回公募が開始されました
1月10日に事業再構築補助金の第13回公募が開始されました。同補助金のホームページ(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/)によると、「新規の応募申請受付は第13回公募で終了」とされています。
それでは、最後の公募内容を詳しく見ていきましょう。
なお、12月に公表されたその他の補助金の概要は、過去のブログに掲載していますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。
「ものづくり補助金の概要」はこちら
「小規模事業者持続化補助金の概要」はこちら
【スケジュール】
現在、申請受付の開始時期は「調整中」となっていますが、その他のスケジュールについては、下記の通りと公表されています。

出典:「事業再構築補助金 公募要領(第13回)」
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf
補助事業の実施期間は類型によって異なりますが、交付決定から12か月または14か月となっています。
事業再構築補助金の公募開始から補助金支払いまでの基本的な流れは、以下の通りですので、改めてご確認ください。
①公募
②事業者が補助金申請
③(採択されれば)事務局から採択通知が送付
④事業者が交付申請を実施
⑤事務局から交付決定を通知し、事業者が補助金を実施
⑥事業終了次第、実施報告を提出
⑦事務局による確定検査(交付額の決定)
⑧補助金請求
⑨補助金の支払い
【事業類型】
事業再構築補助金には、3つの類型と2つの上乗せ措置があります。それぞれの概要は以下の通りです。
[3つの類型]
1.成長分野進出枠(通常類型)
成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者や、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者が取り組む事業再構築を支援する類型。
主な特有要件:
- 過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、別の業種・業態の新規事業を実施すること
- 地域の基幹大企業が撤退し、市町村内総生産の10%以上が失われると見込みの地域の事業者で、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の 10%以上を占めること
2.成長分野進出枠(GX進出進出類型)
グリーン成長戦略「実行計画」の14分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者の事業再構築を支援する類型。
主な特有要件:
- グリーン成長戦略「実行計画」の14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であること
3.コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援する類型。
主な特有要件:
2023年10月から2024年9月の間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
[2つの上乗せ措置]
1.卒業促進上乗せ措置
3つの類型の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援。
主な特有の要件:
- 補助事業終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること
2.中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
3つの類型の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援。
主な特有の要件:
- 補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
- 補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させること
※なお、事業類型の要件には、実施事業が事業再構築の定義に該当する必要がある「事業再構築要件」や、事業計画を金融機関や認定経営革新等支援機関の確認を受ける「金融機関要件」、補助事業終了後3~5年で付加価値額や従業員一人当たりの付加価値額の年平均成長率を一定以上(類型により3.0%ないしは4.0%)増加する見込みの事業計画を策定する「付加価値額要件」など、ほかにも必須な要件がありますので、詳しくは公募要領をご確認ください。
【それぞれの事業類型の特徴】
事業類型の独自の要件を見ると、それぞれの類型の特徴がわかります。
まず「成長分野進出枠(通常類型)」は、主に売り上げが減少している業界や大企業が撤退などで総生産が減少した地域の事業者を主な対象としています。(それ以外にも、事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加、かつ、取り組む事業が、過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上拡大する業種・業態に属している場合も対象になります。)
次に「成長分野進出枠(GX進出進出類型)」は、政府が定めたグリーン成長戦略「実行計画」14の重点分野(次世代熱エネルギーや洋上風力・太陽光・地熱発電など)への進出を目指す事業者が対象です。
※グリーン戦略「実行計画」14の重点分野についてはこちらをご確認ください。
最後に「コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」は、最低賃金を一定以上に上回る従業員が一定割合いる事業者が対象となっています。
【各類型の詳細】
各類型の補助金額や補助率、補助事業実施期間、補助対象経費は下記の通りです。



いずれも出典は「事業再構築補助金 公募要領(第13回)」
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf
【第12回との相違点】
第13回の公募要領でこれまでと大きく違うのは、「事前着手はいかなる理由があっても認められない」とされた点です。
第11回までは、何らかの理由があり、申請時に事前着手届を提出した場合に限り、交付決定日よりも前に購入契約(発注)等を実施したものの経費も認められていました(事前着手)。第12回は、第10回、第11回の不採択事業者に限り、例外的に事前着手が一部認められていましたが、これが第13回は完全に認められなくなりました。
【その他の注意点】
これはほとんどの補助金にも言えることですが、補助事業終了後、数年(事業再構築補助金については5年間)にわたり、事業化状況報告を行うことが必要となります。この報告を怠ったり、事業計画で宣言した要件の一部が未達になったりすると、補助金を返還要請されることがあるため注意が必要です。
また事業再構築補助金では、補助経費が1,000万円を超える案件では、最低でも事業計画期間終了までの間、保険または共済への加入義務が発生します。
さらに、令和6年度補正予算で公表されたものづくり補助金では「収益納付を求めない」とすることになりましたが、事業再構築補助金では、これまで通り、補助事業を実施することで得られた収益(収入から経費を引いた額)が自己負担額を上回った場合には補助金額を上限として、収益を返納(収益納付)する必要があります。(ただし、事業化状況等報告の該当年度の決算が赤字の場合は免除)
その他、補助事業者には補助事業で取得した財産の処分が制限されたり、証拠書類の保管が義務づけられたり、いくつかの義務が課されます。
公募要領の「8.補助事業者の義務 (交付決定前後に遵守すべき事項)」をよく読み、理解したうえで申請してください。
【まとめ】
いかがだったでしょうか。
事業再構築補助金は第12回で終了ではないかという話がありましたので、第13回が公募されたことに少々驚いています。
いずれにしても、補助金はあくまで事業を行う「補助」の役目ですので、金額が大きいからと飛びつくのではなく、再構築にあたる事業が本当に必要であるかを十分に吟味したうえで、申請を検討してみていただければと思います。
それでは、次回もよろしくお願いいたします。